宇原獅子舞の挑戦 — MISSION & PURPOSE — (使命と存在価値)
宇原獅子舞は、兵庫県宍粟市山崎町の宇原(うはら)地域において継承されている獅子舞です。宇原地域は、世帯数が157軒で住民は376名(令和6年3月31日現在)の山に囲まれた小さな村です。
宇原獅子舞の由来は、姫路市から宍粟市山崎町までの播磨伝播により継承されてきた毛獅子で、例年、宇原の天神様と宇原岩田神社に奉納しています。獅子舞で使用する太鼓の内側には万治3年(江戸時代1660年)の銘があり約360年以上前に宇原の天神様へ奉納した記録があります。また、「山崎藩覚書帳」には、安政5年(1858年)の約150年前に山崎藩主の本多忠明が肥前守を命じられ、その祝賀会で披露したと記されています。低い姿勢で生きたように舞うのが特徴で、獅子の毛は馬の鬣を使用しており、雄が黒、白、茶の三種、雌が、黒、白、茶、赤茶の四種を使用しています。約15年前には、地域の子どもたちの参加を推進する目的として、子獅子も新たに制作しました。演目は、宮入、神楽、曲舞、牡丹、刀、相之山、道引、蝶子、棒、吉野、岡崎、梯子の12種類です。釣手は、踊り子、猿、侍(刀)、侍(棒)、お多福です。昭和62年10月8日に、宍粟市山崎町から指定文化財(宍粟市無形民俗文化財)を受けました。
当保存会では、「宇原獅子舞を活かした地域おこしと地域貢献」を理念として、祭り文化の多様性の保護と継承に努めています。その具体的な取組みは次のとおりです。
【持続可能な伝統芸能継承への挑戦】
へき地である過疎地域の少子高齢化や人口減少において、『持続可能な伝統芸能の継承』を実現するために、約10年間をかけて、3つの取組みに挑戦してきました。
(1)地元地域に限らない公平な継承者の受入れ
(2)女性の参画を推進したジェンダー問題の解消
(3)継承活動にIOTを導入した積極的なDX化の推進
お陰様で、10年程前は、宇原獅子舞保存会の平均年齢60歳で人数は10名程度でしたが、現在は、平均年齢35歳で人数も30名以上となりました。特に、20代男女の若者達が大活躍しています。過疎地域において伝統芸能の継承が衰退していく中、逆に宇原獅子舞は年々活性化していく成功事例になりました。
これからも、持続可能な伝統芸能の継承を実現して、兵庫県宍粟市の伝統芸能の魅力を大阪万博を通して世界へ発信していくと共に、理念に基づき地域資源を有効に活用しながら、時代に適した挑戦を続けて参ります。Society 5.0における持続可能な伝統芸能の継承とは、時代に合わせながら「変えていく」のではなく「進化させていく」のだと考えています。伝統を守るためには進化が必要です。
演目「梯子獅子」
「オンライン稽古風景」
兵庫県宍粟市と広島県をつなぐオンライン稽古の様子です。仕事の転勤により祭りの当日しか帰郷できないメンバーでも、地元のメンバーがオンラインでしっかり練習をサポート。
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