活動紹介 Activities
宇原獅子舞の保存・継承並びに、後継者の育成を目的として、宇原岩田神社秋季大祭や戸原ふれあい祭り、その他(病院や特別養護老人ホームや障害者支援イベント等)において披露しています。過去には、昭和48年と平成5年に播磨国総社三ツ山大祭にも参加しています。練習は、宇原宮西公民館(兵庫県宍粟市山崎町宇原501)にて、例年8月から10月の毎週金曜日の夜19時頃から練習行っています。地域や性別や年齢を制限することなく、活動に興味を持っていただける方をいつでも歓迎しています。お気軽にお問合せ下さい。
※私たちは、当保存会の理念「宇原獅子舞を活かした地域おこしと地域貢献」を実現するため、原則、無償(交通費も自己負担)で活動してきました。獅子舞を舞わさせて頂ける機会を頂ける事が、何よりも励みになっています。
【主な活動紹介】
2024.12.11 ▶伝統文化ポーラ賞授賞式
東京ザ・ペニンシュラの授賞式オープニングセレモニーにて宇原獅子舞披露
2024.12.07 ▶宇原獅子舞教室
宍粟わかば保育園にて宇原獅子舞教室を実施
2024.12.01 ▶戸原ふれあい祭り
戸原小学校にて宇原獅子舞を披露
2024.11.23 ▶文化庁長官から感謝状授与
全国民俗芸能大会において文化庁長官から感謝状授与
2024.11.23 ▶全国民俗芸能大会(東京)
東京の日本青年会館ホールにて宇原獅子舞を披露。富山、岩手、神奈川の獅子も出演
2024.10.31 ▶ユニフォーム完成
東京公演や大阪万博での出演に向けて新ユニフォームを制作
2024.10.26 ▶宍粟市パラスポーツフェス
宍粟市一宮スポニックにて障がい者への支援活動として梯子獅子披露
2024.10.18 ▶手作り木箱完成
市外への出演道具運搬用にロゴ入り手作り木箱制作
2024.10.13 ▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2024.8.19▶「宍粟市プレスリリース」記者発表
宍粟市役所にて伝統文化ポーラ賞受賞の記者発表
2024.8.4 ▶宇原ふれあいの集い
宇原ふれあいセンターにて宇原獅子舞を奉納
2023.12.3 ▶兵庫県芸能祭
太子町あすかホールにて宇原獅子舞を奉納。感謝状授与
2023.11.19 ▶介護施設イベント
けあビジョンホーム宍粟にて利用者への支援。イベントにて獅子舞を奉納
2023.11.11 ▶障がい者パラスポーツフェス
一宮スポニックパークにて障がい者スポーツ支援。イベントにて獅子舞を奉納
2023.11.03 ▶宍粟市芸能祭
山崎文化会館にて宇原獅子舞を奉納
2023.10.09 ▶神戸新聞掲載
神戸新聞(朝刊)にて宇原獅子舞が紹介
2023.10.08 ▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2023.08.06 ▶宇原ふれあいの集い
宇原ふれあいセンターにて獅子舞を奉納。自治会イベントの余興として出演
2023.03.12
▶第2回宍粟市こどもフリーマーケット
イオンモール山崎2階イベント広場にて獅子舞を奉納。ボランティアスタッフとして運営協力
2023.03.17
▶たつの市民病院イベント
たつの市民病院にて、入院患者様に獅子舞を披露
2023.01.27
▶広報しそうチャンネル取材・放送
宇原宮西公民館にて、宇原獅子舞紹介動画撮影
2022.11.10
▶地域広報紙掲載
市内広報「やまさき文化」に掲載
2022.11.12
▶障がい者パラスポーツフェス
一宮スポニックパークにて障がい者スポーツ支援。イベントにて獅子舞を奉納
2022.10.10
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2022.10.09
文化庁伝統文化支援事業採択
委託キャノンマーケティングジャパン動画撮影
2022.03.12
▶第1回宍粟市こどもフリーマーケット
宍粟市生涯学習センター学遊館にて獅子舞を奉納。ボランティアスタッフとして運営協力
2021.10.10
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2021.07.26
▶夏休み篠笛教室
小学生を対象に夏休み篠笛教室を開催
2021.06.10
▶篠笛完成
3年以上乾燥させた地元産の篠笛が完成
2020.12.06
▶無償での地域貢献事業
特別養護老人ホーム「しそうの杜」にて宇原獅子舞を披露
2020.10.11
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2020.9.1
▶太鼓のバチを制作
地域の山で採取した樫木の5年乾燥させて削り制作した太鼓のバチ完成
2019.11.03
▶ふれあい祭り
戸原小学校にて宇原獅子舞を披露
2019.10.13
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納「めくり」は、自分たちで制作
2019.09.14
▶仕上げ稽古
戸原小学校にて獅子舞の仕上げ稽古
福元市長が激励の来場
2019.08.10
▶獅子の修理
獅子頭を自分たちで修理
2019.03.13
▶課外授業
宍粟市立戸原小学校にて地域伝統文化の授業を宇原獅子舞が実施
2017.10.15
▶篠笛の制作
近隣の河原で篠竹を採取、今後、3年以上乾燥させてから加工
2017.10.09
▶新聞掲載
神戸新聞朝刊10月9日版に掲載。「女性ペアが獅子舞」宇原獅子舞の歴史上、初めて女性コンビが獅子舞披露。この事は、大きな話題となり、地域の広報誌や、テレビなどで取り上げられた
2017.10.08
▶梯子獅子奉納
宇原岩田神社に梯子獅子を奉納。
2015.11.10
▶地域広報紙掲載
市内広報「やまさき文化」に掲載
2008.10.12
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納
2012.11.15
▶宍粟市郷土芸能文化祭
山崎文化会館にて宇原獅子舞を奉納
2005.10.09
▶宇原岩田神社秋季大祭
宇原岩田神社にて宇原獅子舞を奉納。
2005.08.01
▶パンフレット完成(第1版)
宇原獅子舞をご紹介するパンフレット制作
2000.01.03
▶宍粟市ミレニアムイベント
宍粟市のミレニアムイベントにて宇原獅子舞を奉納
【主な補助金採択実績】
・令和5年度 地域伝統文化振興支援事業採択(兵庫県市町職員互助会)1,000,000円
・令和5年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)297,000円
・令和4年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)297,000円
・令和3年度 地域伝統文化振興支援事業採択(兵庫県市町職員互助会)86,900円
・令和3年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)297,000円
・令和2年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)36,000円
・令和元年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)344,000円
・平成30年度 伝統文化親子教室事業採択(文化庁)340,000円
以下、省略
【宇原獅子舞のご紹介】
Ⅰ 宇原獅子舞について
1 宇原獅子舞の説明
(1)理念
「宇原獅子舞を活かした地域おこしと地域貢献」を理念として、祭り文化の多様性の保護と伝承・活動に取組んでいます。
(2)由来
宇原獅子舞は、姫路市から宍粟市山崎町までの線の伝播により継承されてきた毛獅子。宍粟市山崎町宇原の天神様と岩田神社に奉納しており、獅子舞の太鼓の内側には万治3年(江戸時代1660年)の銘があり約360年以上に天神様へ奉納した記録がある事から、約360の伝統があります。また、「山崎藩覚書帳」には、安政5年(1858年)の約150年前に山崎藩主の本多忠明が肥前守を命じられ、その祝賀会で披露したと記されています。
(3)概要
毛獅子で12の演目があり、低い姿勢で生きたように舞うのが特徴です。雄、雌、子獅子の3体ある。五穀豊穣を祈願して奉納を行っています。昭和62年10月8日に、宍粟市山崎町から指定文化財(宍粟市無形民俗文化財)を受けた。演目は、宮入、神楽、曲舞、牡丹、刀、相之山、道引、蝶子、棒、吉野、岡崎、梯子があります。釣手は、踊り子、猿、侍(刀)、侍(棒)、お多福。少子高齢化や人口減ですが、持続可能な獅子舞の伝承を行うため、性別や地域や年齢の制約を改善し、現在は、女性の舞わし手も活躍しています。保存会の大人は30名程度(平均年齢約32歳)。主に20代の男女が中心となって活躍しています。
(4)獅子の仕様
獅子の毛は紺木綿布に馬の鬣を縫い付けています。雄は黒と茶の鬣を使用し、雌は白と赤茶の鬣を使用しています。獅子頭は雌雄対となり、ハリコ製(重さ約6kg)で、黒漆の上に金箔を施しています。年代を重ねているため今では黒光りの方が強く、重厚さも加わっています。獅子の内側には、耳と舌を操れる紐があります。尾は、ゆたんを貫通した棒で繋がっており、内側から、獅子の尾を立てたり振れるようになっています。
2 歴史的価値について
(1)毛獅子と希少な演目
360年以上伝承されてきた、全国でも珍しい毛獅子。毛は馬の鬣を使用しており、雄が黒、白、茶の3種類、雌が、黒、白、茶、赤茶の4種類あります。地域の子どもたちの参加を推進する目的として、約15年前に、子獅子も新たに制作しました。希少な演目は、雄、雌、子獅子の3体が同時に神社へ奉納する「宮入」や、梯子の上に獅子が立つ「梯子」です。「宮入」は、天神様と岩田神社共に鳥居付近から拝殿までを獅子が顔を見合わせながら、ゆっくり進み、拝殿で3回のお辞儀をして参拝する。境内に降りてきた獅子は、曲に合わせて上下に舞い、洞入りの舞をします。この宮入の舞は、姫路市から宍粟市山崎町までの播磨伝播の中で独自の変化を遂げています。[a-1]大渡敏仁(2010)によれば、兵庫県の西播磨地方における獅子舞の伝承地は153カ所に及び、そのうち90%が伊勢大神楽系獅子舞を占め、毛獅子の伝承は10%と少ない、と示されています。また、更に希少な演目に、∧形(山形)に組まれた梯子を獅子が上る「梯子」があります。囃子に合わせて一段ずつゆっくりと梯子を上り、頂上まで辿り着いた獅子は、立ち上がり、あたりを睥睨しつつ、獅子頭を高く掲げ、激しく右に左に突き出し、梯子獅子を奉納する。さらに梯子は左右に身体を揺らし、反り返ります。獅子の後足、脇の猿役も危険な逆立ち、反り返りなどを行い奉納します。梯子獅子に用いる梯子は、「二間梯子二挺を山形に立て」を基準としています。約7メートルの高さであり、その2つの梯子を∧形に頂上で結合させた形で地面に立てます。補強のために頂上からロープで梯子の∧形に正対する90度の角度で両方の地面に強く引っ張り、杭で固定させます。なお、梯子の下面にぴったりと幕が貼り付けられます。これは観客が演技する獅子の胴幌を下から覗き込まない装置としての意味があります。梯子獅子は、観客の「ヨー ショイ」という掛け声で、獅子が梯子に上っていきます。[a-2]谷本京子(1994)によれば、譜面による伝承ルートは、市川水系と、揖保川水系トの2つが示されており、譜面や演目に大きな違いがあり、別所西や豊富、船津に伝わる獅子舞は市川水系伝承ルートと示されています。宇原獅子舞はこの市川水系と譜面や演目が類似している事より同様の伝統ルートです。
宇原獅子舞の演目では、「宮入」を除いた11の舞の全てに共通することが3点あります。1点目は、舞わし手の礼で始まり、礼で終わる事。舞わし手は、茣蓙の上で正座をして、ゆたんに入る前と出る時に礼をします。神聖な奉納に対する敬意や感謝を示しています。2点目は、舞わし手が獅子に入ると神楽以外の演目では、「洞入り」という動作から始まり、「洞入り」という動作で終わります。洞入りの動作は、演目が違っても同じ動きです。3点目は、各演目において「ミチ」をみる事。「ミチ」とは次の動作に入る前に、各演目の特徴を捉えて行う動作の事です。宇原獅子舞は、正方形の角から角へ進んでいく。次の角へ進む前の動作が「ミチ」です。以上の3点は、宇原獅子舞の演目における独自の特徴です。
(引用参考文献)
[a-1]大渡敏仁(2010)『民俗音楽研究 第35号 兵庫県西播磨地方に伝わる梯子獅子の研究』
[a-2]谷本京子(1994)『武庫川女子大学紀要(人文・社会科学)西播磨における獅子舞』
(2)釣手の衣装
伝統的な衣装が継承されている。踊り子は着物の他、歌舞伎の世界で使われる三番叟の装束を着用しています。また、侍やお多福も着物です。猿は黒装束と頭は鉢巻きで絞り上げ、逆立ちや前転などの奇抜な動きにも対応できる姿をしています。宇原獅子舞が発祥した江戸時代の衣装文化を今も伝承する釣手の衣装は、着付け方法から装備品まで、今後も伝承していく価値があります。
3 学術的価値について
(1)太鼓
「ケヤキ」の大木を削って作られた径一尺二寸(36cm)の木製太鼓。平成13年1月、太鼓の修繕を行った際、太鼓の内側に『万治3年』と記された銘が発見された為、約360年前の太鼓である事が判明しました。また、この太鼓は、宇原獅子舞特有の形状をしており、学術的価値が高いです。太鼓の内側の銘が保存されている額縁の裏側には、太鼓の時代背景の解説が記録されています。
<記録内容>(原文)
時代背景 万治3年は今らか340年前 1660年で徳川家綱(家光の子)が将軍の時である。水戸光圀が大日本史を書いた時代で有名な岡山の閑谷眼光の出来る8年程前に出来た太鼓で儀式用につくられたものらしいと眞田太鼓の主人は話しておられます。尚万治3年当時は松平恒元(3万石)が山崎藩主であり、宇原獅子舞の天神様もこの年にまった記録があり。貴重な太鼓です大切にしたいと思う。
宇原獅子舞太鼓には、通常の太鼓にはない特徴があります。取っ手の釻(かん)と、座金(ざがね)が、上部に並んで二つあることです。これは、本部から宇原岩田神社まで獅子や釣り手の道具を運ぶ道のりに「道中(どうちゅう)」という演目があり、太鼓を長い棒に吊るし、2名の奏者がそれぞれ片面を叩く。ドコドコドンという音が小さい節と大きな節に分かれています。
宇原獅子舞の「道中」を演奏するために、釻と座金は、特殊な場所に取り付けてあります。(通常は左右の側面)この独特の太鼓の形状は、宇原獅子舞太鼓の特徴です。更に太鼓の革には黒漆が塗られているのも珍しいです。「道中」は太鼓に加えて笛も共演します。
(2)篠笛
宇原獅子舞で使用する篠笛は昔から手作りの手法が伝承されています。宍粟市山崎町宇原の揖保川沿いには、昔から篠竹が群生しており、節が35㎝以上あるものを選別し、3年乾燥させ加工しています。独自の音階があり、穴の開ける場所や拭き口の加工は技術を要します。大人の中には、篠笛に漆を塗ったり、金属装飾を加えて一生ものとしている者もいて、60年以上前の笛を家宝にしている家も存在します。山に囲まれた宍粟市独自の気候で育った篠竹は、独自の音色を奏でます。近年では、従来の篠笛に加えて、子どもでも音が出やすいように改良した篠笛も制作しています。また、音楽に精通した保存会のメンバーが音階を分析し、子ども達が気軽にリコーダーでも演奏できるようにしています。篠笛の制作で最も苦難するのは音程である。竹の乾き具合や節の太さを考慮して、見本笛と同じ音程となるように制作します。譜面については、[a-1]大渡敏仁(2010)により、梯子獅子の上りと、下りが示されています。
【梯子獅子上りの旋律[a-1]大渡敏仁(2010)】【梯子獅子下りの旋律[a-1]大渡敏仁(2010)】