十二の舞
宮入
神事の始めとして舞台を清める舞いです。雄獅子と雌獅子の二頭が踊り子と金幣(きんぺい)、銀幣(ぎんぺい)に引き連れられ、神前へ上がっていきます。辿り着いた二頭は頭を下げ神社に参拝します。
神楽
雄獅子が氏神に五穀豊穣の感謝と氏子の安泰を祈願する舞です。獅子は口にくわえていた短刀を氏神に捧げます。立ち上がった獅子の高さは三メートルを越えます。
曲舞
雌獅子が野原で踊っていた踊り子と一緒になって愉快に舞います。踊り子は歌舞伎の世界で使われる三番叟の装束を身に纏いリズムにあわせて鈴と鉦を鳴らします。
牡丹
雌獅子が山の麓で牡丹の花を持った踊り子と軽快に舞います。獅子は踊り子のもつ鮮やかな牡丹の花に惹かれていきます。踊り子は花を操り、獅子を軽やかに舞わせます。
刀
お腹を空かせた雄獅子が山奥で一人の侍と出くわします。睨み合い、ついに死闘が始まります。獅子は侍に喰らいつこうとし、侍は決死の覚悟で斬りかかります。
相之山
森を散歩していた雌獅子に二匹のいたずら好きな猿達がちょっかいを出します。猿達は獅子のお腹のしたにもぐったり、尻尾を掴んだりします。遂に獅子は怒りだし、猿達に襲いかかります。
道引
獅子が山の中で生息している姿を繊細に表現した舞です。体を舐めたり、寝転んだり、踊ったり、獅子が生きているような繊細で自然な動きが見どころです。
蝶子
春先の晴れた日に菜の花畑で蝶をあやつる童子がいます。そこに雌獅子が現れました。童子は軽快に蝶をあやつり、襲われまいと獅子の気をそらせます。獅子は蝶を口で捕まえようと夢中になります。
棒
棒の達人か獅子を退治しようと獅子の住む山に入り込みます。雄獅子を見つけた棒の達人は、巧みな技で獅子を叩き伏せ、腹を持ち上げ投げ飛ばします。一方、獅子も負けじと噛みついていきます。
吉野
桜の咲く好季節に、雌獅子が山から野原へ下りてきたところ、野原では童子たちが遊んでいました。獅子は小春に酔いしれ童子と一緒に遊びだします。
岡崎
山里でお多福が擂り粉木を使って味噌をすっていると、雄獅子が匂いに釣られて現れます。 お多福の窮地を見かねた猿が、助けに入ります。猿は自分の背丈程もある、しゃもじを振り上げ獅子を追い払います。
梯子
雄獅子が二匹の猿に導かれ、峻険の山へ登っていきます。山頂に達した獅子は立ち上がり、神々に人々の無病息災と土地の五穀豊穣を願う舞を奉納します。地上から高さ六メートル以上の梯子の上に立ち舞わす梯子獅子は、宇原獅子舞保存会が全国に誇る舞です。